「母が書いた絵を元にリングを作ってもらう事って可能ですか？」

本日のジュエリー。

「母が書いた絵を元にリングを作ってもらう事って可能ですか？」

そんなお問い合わせを頂きました。

吉祥寺にお越し頂いた際に詳しくお話を伺うと

お母さまが憧れ続けた後に手に入れたルビーのルース(裸石)が主役でした。

カボションカットのルビーはとても美しい色で

お母さまが一目惚れされたのも納得です。

当時、購入されたお店でメーカーさんの既製枠をすすめられたそうですが

お母さまが首を縦に振る事はなかったそうで

ルビーはルース(裸石)のまま宝石箱の中が定位置に。

それから時は経ち

ルビーのルース(裸石)は母から子へ受け継がれました。

「母が作りたかったデザインで形にしたいんです。」

その想いを叶えるには

お母さまの絵をデザイン画(製図)に置き換える事ができるデザイナーと

そのデザイナーの意図を汲み取り形にできるクラフトマンの存在。

そのどちらが欠けても形にはなりません。

そして美しい主役には

同様に美しい脇役が必要不可欠。

その脇役を揃える為の人脈とバイヤーが必要なのは言うまでもありません。

全ての準備が完璧に整った時に

初めてジュエリーは美しい輝きを放ちます。

それはオーケストラが綿密な準備を重ねた事で

初めてコンサートで美しい音を奏でる事ができるのと同じ様に語られる事があります。

少しの狂いも許されない正確さと

人の温かみが重なり

美しさに繋がって行くのです。

「早く母に見せたい！」

そうおっしゃって頂けたのは私達に対する最大の賛辞。

この仕事を続けてきて本当に良かったと思える瞬間です。